ちゅうさんの手づくり器 |
陶芸は1999年から始め、5年目で自宅に窯を持つことができました。自分でつくった 器が食卓を飾る時、何ともいえない味わいがあります。いろいろ制作しているのですが、 親戚や友人のところに嫁ぐ物が多く、腕の割には結構重宝されているようです。
陶芸はその工程が多く、どの工程も奥深く、それぞれの工程がからみあってひとつの 作品が生まれます。土と格闘している時は無心にならないと心が作品に現れます。上手 につくろうというより満足したものをつくろう、と努力していますが、なかなか満足 できない……。
夢の個展を開催しました 2022年
コロナの影響ばかり嘆くより、コロナで外に出られなくなって、陶芸舎でつくったカップを展示しよう!
そんな発想をしたのが、2021年の秋深い頃。
市の立派なギャラリーが4月には借りられる目途が立ち、
個展など何もノウハウが無い中、展示会を廻ったりネットで調べたりしながらの準備は楽しいものでした。
タイトル=創作カップ展として、まずまず満足できる展示会でした。 箸置きを会場の隅に大鉢に入れて用意、これを持って行った人には100円の募金を呼びかけ、ウクライナの 人道支援として寄付することにしました。6日間の募金額は5万9,290円となりました。 こちらは個展会場の様子です。 |
スープカップ 2021年
2021年もコロナ、コロナで明け暮れました。工房“時遊舎”は筆者の隠れ家、ここに居ると一人創作に打ち込めます。
外からの音や刺激を遮断するために、かみさんにも緊急時以外は声を掛けない約束にしているのです。
お腹が空いたら食べる、のどが乾いたらコーヒーを入れる、というわがままを通しています。
2021年はスープカップに凝ってみました。実はスープなるものは、普段の生活ではあまりつくらないのです。
どちらかと言えば味噌汁が多いから、制作したものはスープよりも、サラダや煮物に活用しています。
取ってがついているので、ちょっと面白い和風の器になったり、使い勝手がいいのです。
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白御影土に青銅マット釉3点鉢 2020年
2020年は、初春からコロナ禍で3密を避けるようになりました。が、陶芸は独りで工房に籠り
ますから、コロナの影響は受けません。逆に、外に出る他の趣味ができなくなったことで、工房に入る時間が
増えました。みっちり、コーヒーカップとソーサーの制作に充て、コロナが落ち着いたら友人を招いて個展、
みんなでコーヒーを飲みたいという夢が出来ました。
ここに掲載できればいいのですが、それは個展まで不出です。お楽しみに。 掲載した作品は、白御影土で成型、青銅マット釉薬のコンビで酸化焼成したもの。この風合いが大好きです。 織部釉に似た風合いになりますが、マット釉なので、光沢が無いしっとり感が料理をひき立てます。 直径20センチ、15センチ、13センチで、 食器棚にスタックして収納できるよう考えました。お気に入りです。 裏側は、小さい写真のように飛び鉋の文様になっています。 |
信楽の土に萩の釉薬 2019年
NHKの朝ドラ「スカーレット」が放映されて、陶芸の工程がたくさん出て来ます。
触発されて、信楽の土をひねってみました。信楽の赤土、赤1号を使っています。信楽の土は、粘性が高いの
ですが、轆轤では割合に扱いやすい土です。素焼き後は、少し表面がザラザラしているのが特徴。
萩の釉薬は、凹凸部に入って塩梅の良い濃淡が出ます。大きな鉢は直径が23センチ、右からご飯茶碗、湯飲み、
小さい片口、コーヒーカップ2点、味が有る色あいに仕上がりました。
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まめ皿いろいろ 2018年
直径6センチほどの小さな皿。陶芸の世界では豆皿と呼びます。 土は信楽の白土、粒子が細かく磁器みたいな粘性が高い土です。真っ白に焼きあがりますが、 透明釉をかけると、淡いクリーム色に、上手にやると貫入(細かいひび割れ模様)ができます。 素焼きをしたあと、絵付けをしてから透明釉をかけて焼き上げます。 お刺身や餃子などの醤油差しや、つくだ煮やお新香など少量のご飯の友、味見をするときの 小皿として重宝します。 |
イタリアン皿 2017年
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夕食のクッキングにはまっています。 パスタ料理やちょっとした洋風料理に使える皿 が欲しくなり、イタリアン皿に挑戦してみました。 土は信楽の白土です。磁器系のキメ の細かい土です。リッジの部分をつくるのに苦労しました。和物だとこういうデザインが 無いので、思考錯誤しましたが、何とか2枚仕上がりました。 絵模様も洋風の色合いにしてみました。 裏にも、かわいい隠しデザインが施してあります。 |
花瓶いろいろ 2016年
ちょっと庭に咲いたお気に入りの花を飾ってみたい、という時に相応しい花瓶が無かった。古陶
という土で大きな板をつくり、丸棒で円筒形をつくり、コの字にグニャと曲げると完成。ことば
にすれば簡単だが、円筒形の長さ、太さ、曲げ具合が難しい。釉薬は青銅マットというのを使う
と、このような明るい緑色の色が出る。文様は細いロープで縄目を入れて見た。 真ん中の黒っぽいのは、黒泥に均窯釉、下の部分をカンナで粗削りしてみた。 |
ザクロ模様食卓皿4点 2015年
自分で夕食をつくるようになって、「この料理を盛り付け
るのにこんなお皿が有ったら」、と考えるようになった。そういう形と風合いのお皿が欲しくて
、土・釉薬・形・模様を考えた昨品だ。 一番小さいのは直径8センチ、一番大きいのは16センチある。刺身の醤油、香の物、サラダ、 煮ものの器などで重宝している。土は信楽の白で轆轤づくり、釉薬は透明釉、織部釉のスプレー 掛けで少し緑のグラデーションを付けて見た。 |
平皿釉薬3点 2014年
久々に陶芸の原点である“たたら板”づくりをしてみた。表面には土切糸を細工して糸目を付け
た。土は白系の“古陶”。ヘリは平にせず、リズムを付けるため凸凹に細工した。大きさは17センチ
×12センチ、四角い皿は縦横比のバランスが難しい。切り身の焼き魚が似合う大きさだ。同じ
土、同じ形で釉薬を3種類使って見た。左から白マット釉、黒マット釉、織部釉、色合いで
上に載せる料理の想像が膨らむ。
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3点模様大四角皿 2013年
30センチ×30センチの大四角皿。土は赤1号MIX、釉薬は均窯釉のコンプレッサー掛け。年に数回寿司を握るので、それ用に制作してみた。3点模様は、白・ピンク・紫の化粧土を乗せた。平面だと単調なので、縄目文様を付けた。他の作品にもこの3点模様のものがあるが、硬い表情の皿でも可愛らしく見えるから、トレードマークとして使っている。寿司だけでなく、てんぷら、和風のオードブル、和菓子など様々に使える。大きい皿はダイナミックで良いが、難点は食器棚に収まりが悪いこと。奥行が無い食器棚なので、いつも他の棚に入れている。寿司なら4人前位が乗る。 |
黒泥飛び鉋中鉢 2012年
直径20センチ程の中鉢。土は黒泥、最近はこの土にハマっている。少し厚めにろくろを挽き、高台削りのあと、表面に高速回転で鉋をかけると、おもしろい紋様が出る。釉薬に、黒泥土に対して青い色に窯変する性質のものをエアスプレイで掛けると、低いところに釉薬が流れてこのような模様が出る。出来てみないとわからない技だ。 |
釉薬掛け前の作品 2011年
陶芸はひとつの作品ができるまでの工程が多い。ろくろを挽いたあと、6割くらいまで乾かし、高台を削る。そのあと落款を押し、完全に乾かす。高台に撥水剤を塗り、釉薬掛けをする。この写真は釉薬をかける直前のもの。ある程度の作品がまとまったところで釉薬を掛け、完全に乾かしてから窯入れをする。 |
黒泥細目3点模様碗 2010年
手前がご飯茶碗、奥の2つが下部まで直径が同じ碗で、あんみつなど甘味碗として合いそうだ。土は黒泥の細目。白いぶつぶつが出るのが特徴だが、長石が混入しているようだ。味わいのある色が出た。内側には白化粧土を薄くして渦巻き文様を入れ、表面には3点に化粧土(白・ピンク・紫)をはめ込んで見た。かわいらしいアクセントになった。
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飛び鉋文様中鉢(直径25センチ) 2009年
直径25センチの中鉢。生乾きの状態で高台削りをするが、そのついでに器の内側に高台削り用の鉋(かんな:鋼で自作します)の刃を轆轤の高速回転に合わせて上手に当てると、器の表面に文様が付きます。ちょっと難しい技ですが、挑戦して見ました。土は
黒御影、釉薬は白乳濁釉をスプレー掛けしグラデーションを出して見ました。まずまず満足の作品です。
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象嵌平皿(直径25センチ) 2008年
とんかつ皿をつくったら、今度は象嵌で模様をつけてみたくなった。象嵌(ぞうがん)
とは、窪みをつけたところに他の異なる物質を充填して模様を編み出す手法。彫金などでもこの手法がある。陶芸の場合は、高台を削ったあと、生乾きのタイミングで印花を押し当て、模様を付ける。そのあと、化粧土を厚くかけ、素焼きする。素焼き後に化粧土をかけたところを目の細かいヤスリで掻き落とすと、最初に印花で窪んだところに白い化粧土が残って模様が浮かんで来る。初めての象嵌作品はビギナーズラックだったかもしれない。
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とんかつ皿(直径25センチ) 2007年
好きな食べ物はかつどんなのですが、とんかつも良く
食べます。専門店に行けばいろんなカツ皿にお目にかかる
ことが出来ます。「よし、マイかつ皿を持とう」と思ってチャレンジしてみました。
土は普段貯めておいた半端なものを寄せ集めたミックス。黒、茶、白、灰色
などを混ぜたらこげちゃ色のものが出来ました。生乾きのタイミングで白い
化粧土を表面にコーティングすると、このようにハケ目が出ます。なかなか
気に入っています。マイかつ皿なんて持っている人、少ないでしょうね。
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葡萄葉脈皿と箸置き 2006年
庭に巨峰の木が1本あり、ツルが駐車場の屋根の下を這っている。 毎年9月には大粒の実が楽しめるが、この葡萄の葉っぱを6月末頃に 利用して制作した。大きなもの(は、手の大きさの倍以上(結構大きい) ある。粘土に葉っぱの裏側を押し当てて葉脈を取り、葉っぱの形にそって 土を切りおとすと、このような形が得られる。白い土を使って、釉薬は織部釉を かけるとこの風合いが出る。一緒に写っている結び目様のものは、同じ土と 同じ釉薬でつくったペアの箸置き。なかなか可愛いと思っている。 |
秋刀魚皿とそば猪口 2005年
黒御影土で制作した“さんま皿”とそば猪口。 ちょうど秋刀魚が乗る大きさで平皿を制作して見ました。 奥の2つはそば猪口です。なかなか風合いがあって気に入っています。 秋刀魚も開きではなく、少し大きめのどっしりしたものに 大根おろし、それも紅葉おろしなんかが似合う色あいです。 黒みかげに透明釉という、透明の光沢が出る釉薬なので、土の 風合いがそのまま出ています。白くなっているところは、 白濁釉をスプレーガンでかけてグラデーションを出して見ました。 |
コーヒーカップとソーサー 2004年
コーヒーカップは何度か制作しました。自身がコーヒー好きな
ものですから、自分の手に馴染んで、おいしい、と思えるカップを
制作、一人悦に入っています。今まではカップはつくっても、ソーサー
を制作した経験がありませんでした。平皿な上、カップとの大きさ、
かたちのバランスが非常に難しいのです。
この春、初めてソーサーづくりにチャレンジ、土は黒みかげ、釉薬は
白濁釉をエアーコンプレッサーでスプレー掛けしてグラデーションを
出しました。気に入ったひとつとなってサイドボードを飾っています。
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時遊舎・私の工房です 2003年
2003年(平成15年)8月3日、この
日は私の誕生日、晴れて自分の工房を持つ
ことができました。いつかは、と思っていた
ことが実現。庭に6畳のプレハブを建て、電気
窯と轆轤(ろくろ)その他一式を取り揃え、
自宅で陶芸が出来る環境が整いました。満足
です。工房の名前は 時遊舎(じゆうしゃ) 時間と戯れ、至福
のひとときを持ちたいとの意味は、制作の場だけ
なく、その器を使う時もゆったりとした自分の
時間の流れに身を任せたい、との意が込められて
います。写真は親しい友人をお招きして窯開きを
した時に友人たちが思い思いに成型した作品(素焼き前)です。
記念に焼いてプレゼントしました。 |
土鍋・2002年
駅ギャラリーに出品した作品です。 初めて土鍋をろくろで轢いてみました。 粘土は土鍋用の専用土で、焼き上げ温度 は1100度(普通の陶器は1250度)、釉薬 もそれ用のものを使います。 鍋で難しいのはふたを上手く合わせること、 直径をうまく合わせて、きちんと蓋が出来る ようにするのがとても難しいのです。それに 取っ手を付けて美しいかたちにするのに苦労 しました。直径20センチ位の小ぶりなもので 『粥鍋』としました。 |
器5種・2001年
日常使う中平皿、小皿、ごはん茶碗
湯のみ、そば猪口を同じ土、同じ釉薬
で仕上げてみました。土は古陶の小
(小さい粒の長石が入っている)、
釉薬は御深井(おふけ)を使いまし
た内部に釉溜まりといって、釉薬が
濃いところが薄いブルーのビ−ドロ
状になっています。
花瓶・無題2000年
同じく町の文化祭に出品した作品です。
一応、船の形をイメージしたのですが、
意外に制作に手間取りました。高さが20
センチ位あります。土は特こしという鉄
分が無い白い土、釉薬は下部が透明石灰、
上部に松灰釉をかけました。つなぎ目が
割れるのでは、と思いましたが、何とか
持ちこたえました。花瓶『キューブ』1999年
町の文化祭に出品した作品です。
タイトルは『キューブ』立方体の花瓶
です。たたら板という、厚さを均一に
して板状にする道具を使って同じ厚さ
の板を6枚つくって貼り合わせました。
土は特こしという鉄分が少ない白い土、
釉薬は赤松の灰でつくる松灰釉をスプレ
ーでかけています。大きさは一辺が15
センチ位です。